近隣住民の反対運動によるトラブル

マンション建築では、近隣住民から大反対を受けることがあります。マンション建築を検討している依頼主にとっては、起きたら早急に解決したい問題でしょう。マンション建築の反対運動を起こさないためにどうすればよいのでしょうか?もし起きたとき、どんな対応が正解なのでしょうか?こちらでは、マンション建築反対運動の対処法を解説します。

マンション建築は近隣住民から反対されやすい

マンションを建築しようとするとき、近隣住民や自治会から反対運動が起きることもあります。依頼主の立場だと「近くにもマンションが立っているのに」と理不尽な気持ちになるかもしれません。ただ、近隣住民の立場になれば、どうして反対するのかが見えてきます。

すぐそばに高いマンションができれば、日当たりが悪くなると考える人も多いでしょう。それまで明るかった部屋が暗くなり、洗濯物も乾きにくくなれば快適だった住環境は失われます。

プライバシーの問題も無視できません。ちょうど同じ高さで向かい合わせに窓があれば「覗かれるのではないか」と不安になるのも当然です。まったく配慮しなければ憤慨し権利を求めて反対運動につながります。

中には生きがいや迷惑料目的で各地を転々とする人もいて、わざと建築中のマンションの隣に住んで建築反対運動を扇動するという話もあるようです。

このような事例を踏まえ、マンション建築反対運動には適切に対処しなければなりません。

マンション建築反対運動を回避するためには?

マンション建築の反対運動を起こさないようにするための方法としてまず考えられるのが、説明会の開催です。地元の自治会や近隣住民に誠意を持って説明し、納得してもらうことを考えましょう。その際のポイントを解説します。

近隣住民の理解を得る

マンション建築では、近隣住民の理解をきちんと得ることが重要です。たとえ地域の活性化を助けるための建物だとしても、簡単には納得してもらえない場合もあります。地域に住んでいる方にとっては、住環境が悪い方に変化するかもしれないというリスクを抱えた問題だからです。また、高層マンションに住む人に対し、ネガティブなイメージを持っているために反対したいという方もいるかもしれません。

反対運動があるのに「法令は守っているから問題ない」と強引に進めると、裁判などに時間を取られて余計に計画が狂うこともあります。そのため依頼主は「反対運動があるかもしれない」という予測を立てて、その時のためにある程度準備しておいたほうがよいでしょう。

実際に反対運動が起きてしまった場合は、どうして反対するのかを含めてそれぞれの方に寄り添い、近隣住民の気持ちを理解することが大切なのです。

建築時には希望を推しつつ近隣住民への配慮も忘れない

近隣住民に対しての配慮は大前提です。ただし配慮しすぎると依頼主の立場としては辛い決断を迫られることもあります。

「目隠しをつけろ」「デザインがこのエリアにそぐわない」「建物をもっと低く」「窓の位置が気に入らないから間取りを変えて」と、近隣住民からの要望は多種多様です。

配慮は大切なのですが、すべての要望を聞くとなると設計から事業計画まで大きな変更を求められます。そのため、受け入れられる部分と受け入れられない部分を考えなければなりません。

そういった配慮を行いっつ、実際に対応しなければならなくなった時のために、計画立案の時点で予算の中に近隣住民への対策費を計上しておくことをおすすめします。そうして、近隣住民から上がった要望に対して対応していくのです。

中には「誠意を見せろ」と相手側からあからさまに金銭を求めてくる場合もあります。金銭での解決はよくありません。なにかにつけて、金銭を求めてくるようになるからです。金銭の要求は断りつつ、誠実な対応を忘れないようにしましょう。。

近隣住民とのコミュニケーションを図る

近隣住民とのコミュニケーションは、最優先課題です。ただ、1回だけ説明会を開いたからそれだけで「責任は果たした」と考えてはいけません。逆の立場で考えたとき「説明会開いたのだから反対しないでね」という態度の相手と信頼関係は築けたと思えるでしょうか?

日頃からご近所付き合いをきちんとしているなら「あの人の頼みだからしかたがない」と思ってくれる人も出てきます。日頃から犬猿の中という方がご近所にいるなら計画は難航するでしょう。きれいごとではなく、嫌がらせをする人もいます。

もし、人間関係に問題がある人が近隣にいるなら、建築会社に伝え情報共有をしておきましょう。実績の多い建築会社なら手慣れたもので、配慮し、きちんと対応してくれます。

建築予定地の近くにある住宅の調査をしておく

近隣の家については家屋調査をしっかり行うことも大切です。「どうして、人の家まで?」と考える方もいるかもしれません。マンション建築は大規模な工事です。工事内容によっては、近隣の家に影響が出る場合があります。

中には工事との因果関係は明確ではないのに、住人が「工事しているからうちの家の壁にヒビが入った!」と訴えてくることがあるのです。完全に関係がなかったとしても、「建築を始めたせいだ」と思い込んでいる相手を説得するのはなかなか難しいもの。

そのようなトラブルを防ぐためにも、近隣の家屋調査を実施したほうがよいのです。特に大きな振動を伴う可能性が高い工事であればなおさらでしょう。本当に影響が出たときの責任の所在をしっかり取るという態度を見せれば、理解も得られやすくなりますし、工事が原因ではないという証明にもなります。

ただし、家屋調査を断る住人に対しては、無理やり調査を行うことは避けましょう。無理やり行ったをきっかけにトラブルが発生するおそれがあるからです。

測量をしておく

マンションに限らず戸建ても含めて、土地の境界線トラブルは後を経ちません。数センチレベルでも大問題に発展します。そのため、土地の測量をしっかり行ったほうがよいでしょう。

現地測量をすれば、境界を接した隣の人に同意をもらわなくてもマンションの建築ができます。測量は3種類あり「現況測量」「民民査定測量」「官民査定測量」です。

現況測量は敷地の大きさと形を調べます。法的に必要な測量で、土地の形や規模で多少変化はありますが、一般的な四角い整形地だと50坪なら10万円~20万円が費用の目安です。

民民査定測量は、境界を接する所有者の立会いのもと境界を確定します。土地の規模や立会人が多くなると測量士はそれだけ負担がかかるため、費用も高くなります。

官民査定測量は市が所有している道路や土地と接する土地の境界を確定する測量です。道路を隔てて向かい合った敷地の地権者にも依頼しなければならない場合もあります。そうなると、やはり費用は高くなりがちです。

測量による情報収集も、トラブルを回避できる重要なことなので、しっかりと実施しましょう。

近隣住民との温厚な関係を築くことが大事

近隣住民のマンション建築反対運動は、依頼主であれば誰にでも起きる可能性があるトラブルのひとつです。反対運動を起こさないためには、日頃から近隣住民といい関係を築いておかなければなりません。

また「どんな要求にも絶対に引かない!」となればこじれるばかりなので、妥協案も考えておきましょう。また、反対運動が起きたとき、トラブルを大きくしないためにも、境界の測量や近隣の家屋調査をしっかり実施し、客観的データを集めておくことも重要です。マンション建設では「反対運動が起きてもおかしくない」を前提にして計画を進めましょう。

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